俺だけのお姫様

昔は、簡単に言えたのに。

可愛い女の子と家が隣、という現実に、素直に喜んでいた。
仲良くなりたいな、と、そう思っていた。

近所の老犬を怖がる渚を守ろうとして、一緒に学校に行くことにしたんだ。

もう年寄りの犬だから、滅多に吠えたりしないし、噛みつくこともない。
けれど幼い子供から見れば、大きさと見た目が、十分怖がるに値する。

『こーへー!怖いー!』
幼い渚が、犬小屋から数メートル離れたところで泣きべそをかいている。
それを見た俺が、すぐさま家から走ってきて。

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