嘘から始まる恋



「ちょっといい?」


休み時間、トイレから出てきた所を成瀬くんに捕まり、人気の少ない所へと呼ばれた。


昨日の今日だから、二人でいるのは少し怖い。



「昨日はごめん…」


頭を下げ謝る成瀬くんに、私は成瀬くんを見ることなく、俯いて話す。



「……昨日聞いたこと、全部本当なの?」


お願いだから否定して…。


理子の勘違いだよって言って。



成瀬くんはしばらく沈黙の後、「…ごめん」と言った。


否定、してくれないんだ…。



「骨折してなかったし、賭けてたのも本当…」


「…そっか。私、バカだから気付かなかった…ははっ…」


はぁ〜…ヤバイ、泣いちゃう。


必死に涙を堪える。



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