嘘から始まる恋
王子から解放
「工藤さん、おはよう」
「…おはよ」
翌日、学校に行くと久しぶりに笑顔の山中くんに、廊下で挨拶された。
「目、腫れてる?」
覗き込むように私の目を見てくる。
「あー…うん、昨日の夜、映画観てたら泣いちゃって」
はははーと適当に誤魔化し笑いを浮かべる。
「そうなんだ。何の映画観たの?」
山中くんは信じてくれたようで映画の話を始めた。
山中くんに適当に相槌を打っていると、廊下から女子のはしゃぐ声が聞こえてきた。
そっちの方に目を向けると案の定、登校してきた成瀬くんがいた。
一瞬、視線が合った気がしたけど、私は山中くんの方に視線を戻した。
「…どうかした?」
「えっ?ううん。ごめん、教室行くね」
山中くんと別れ教室へと入った。
成瀬くんを見てると辛い…。