嘘から始まる恋
本当の王子様
それなのに次の日、事件は起きた。
「理子、理子、理子!!」
慌てた様子の純ちゃんが凄い勢いで教室に入ってきた。
「どうしたの?」
息を整える純ちゃんに不思議な表情を浮かべる。
「お、王子が…!」
そんな純ちゃんの言葉を遮るように、廊下から悲鳴に近い叫び声が響き渡った。
「成瀬くん!?」
「どうしたの!?」
「いや〜、ショック〜!!
「でも格好いいよね!!」
「成瀬くん、格好いい!!」
女子の嘆きのような声と熱い黄色い声が聞こえ、それは私たちの教室の前で一段と騒がしくなった。