嘘から始まる恋

本当の王子様




それなのに次の日、事件は起きた。



「理子、理子、理子!!」


慌てた様子の純ちゃんが凄い勢いで教室に入ってきた。



「どうしたの?」


息を整える純ちゃんに不思議な表情を浮かべる。



「お、王子が…!」


そんな純ちゃんの言葉を遮るように、廊下から悲鳴に近い叫び声が響き渡った。



「成瀬くん!?」


「どうしたの!?」


「いや〜、ショック〜!!


「でも格好いいよね!!」


「成瀬くん、格好いい!!」


女子の嘆きのような声と熱い黄色い声が聞こえ、それは私たちの教室の前で一段と騒がしくなった。



< 262 / 275 >

この作品をシェア

pagetop