嘘から始まる恋



「理子!」


「…っ!成瀬くん!?」


教室の前に立つ成瀬くんは王子様なんかじゃなく、普段の成瀬くんだった。


制服もきちんと着ていなく、ちょっと着崩し、髪の毛も黒髪からオレンジに近い茶色に染められていた。


これが本当の成瀬くんの姿…?



「これが俺。王子なんてお前が嫌なら演じる意味なんて全くない」


そう言いながら私の元に近付いてくる。


クラスやよそのクラスからも人が集まり、私たちは注目の的となっていた。


「どうして工藤さん?」「どうゆう関係!?」と女子たちのヒソヒソ声が聞こえてくる。



「とりあえず移動しよ…」


その場にいるのが堪えられなくなり、成瀬くんを引っ張って屋上に上がった。



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