嘘から始まる恋
「やっと手に入ったのに、手放すなんてしたくない」
信じてもいいよね?
その成瀬くんの言葉と笑顔。
「何で泣くの?俺、もう理子のこと泣かせたくないのに。泣くほど嫌いになった?」
手を離そうとする成瀬くんの手を急いで掴む。
「違う…、違うよ?」
「…違うって?」
「私…成瀬くんが好き……だから、成瀬くんのこと信じる」
言えた…。
私の素直な気持ち。
一瞬、キョトンとした表情をし、成瀬くんは優しい笑みを浮かべた。
「それマジ?」
「うん…。本当はね、毎日会いに来てくれて嬉しかったの。でも意地張っちゃって、成瀬くんの話し聞こうとしなかった…。ごめんね」
「俺の方こそごめん。最初から素直に気持ち伝えとけば良かったんだ」
私の頬を撫でるように触り、成瀬くんは自分に呆れたように笑った。