嘘から始まる恋
「おい、いつまでボーッとしてんだよ」
ツンと額を押され、我に返る。
「い、いきなり…キ、キスするから…」
「気にするなよ。別に初めてじゃないんだから」
そう言って席を立って、会計をしに行った。
初めてじゃないからって…。
人前でキスなんてしたことないんだから…!
思い出しただけでも顔が赤くなる。
でも、私は本当の彼女でもなんでもないから、彼女に悪いことしちゃったよね…。
ちょっと罪悪感を感じる。
「行くぞ」
成瀬くんに声をかけられ、慌てて追い掛ける。