冬恋。【完】
「お邪魔なのは東なんで大丈夫です」
そんなことを言うと、いつのまにか自転車をおりていた東が私の所にきて頭をベシベシ叩く。
ちょっと痛いんですけど。
「邪魔ってなんだよ」
声のトーンが低い。東本当に怒ってる!?
ひいぃっ、怖いよ。
「ごめんなさいッ」
謝ると、「はぁ」とため息をつく東。
一応叩くのはやめてくれた。
「仲良いね、付き合ったりしてるの?」
海さんがいきなり意味の分からないことを言う。
こいつ……東と付き合うとかまじありえないから!!
「俺だってイヤだわ」
そんなことを言う東はちょっと悲しそうな感じがした。
……ような気がした。
でも、低い声でそう言われるとさすがに多少落ち込むんですが。
しかも、「俺だって」と言っていた。
私の心読まれてる……!?勘弁してよっ
「私はね、もっとかっこいい人を彼氏にするの!!東なんてイヤ!」
「うるせぇよ!!それはこっちの台詞だ」
「はぁ?東、かっこいい人と付き合うの!?」
「意味の分からないこといってんじゃねぇ!」
完全に口喧嘩。
私は怒ってないけど、東の目が軽く本気だよ……!!