冬恋。

クリスマス

気づけばもう12月中旬、クリスマスまで後一週間になっていた。

今年もクリスマスはまた一人か。
みんな今年は彼氏と過ごすんだろうな、どうぜ私は一人ですよ!!と一人でプンプンしていた。

そんな時にメールが鳴る。

件名:無題
本文:今日、僕ん家来れる?

---END---

土曜日の午後3時、特にやることもなかったので私服に着替えて海さんの家に行くことにした。

「ゆあ、いらっしゃい」
「こんにちは海さん、あれ。緋未ちゃんは?」

家がやけに静かだ、もしかして家にいるの海さんだけだったりするのかな。

「緋未は母さんと出かけた。まぁ上がりな」
「あ、はい。お邪魔します」

やっぱり緋未ちゃんはいないんだ。

そう思っているといつも遊んでいるリビングではなく、リビングより少し奥にある部屋につれていかれた。

……誰の部屋?

「僕の部屋でいい?」
「え?」

誰の部屋か疑問に思っていると、そう聞いてきたのであせった。

か、海さんの部屋!?

「嫌か?」
「いえ、そんなことないです!!」
「ありがと」

ニコっと少し微笑みながら言った。

「部屋、散らかってるけど入って」

初めて見る、海さんの部屋。
男の人なのにすっきりと片付いている。
本棚を見ても、普通の本ばかり。漫画は少ない……かな。

ブックカバーがついてる本が怪しいけど漫画というより小説だ。
って、私はどこ見てるの……。

「そこ、座って」
「ベットですか?」

……あれ、こんなシーン前にもあった気がする。

「うん」

……。
少しの沈黙。でも気まずいかと言われればそうでもない。

「ゆあ……、やっぱり僕言わなきや気が済まないや……わがままでごめんね」

なんのことだかさっぱり分からない私。

「僕やっぱりゆあ好き。この前遊んだときによく分かった。ゆあがもしよかったら、辛くなかったら付き合わないか?」

遊んだ時……。
少し前、一緒にプリクラ撮りに行った時のことかな。
あの時……か、私何もしてないんだけどなぁ。

「もちろんすぐじゃなくていい。気持ちを伝えたかったんだ。ずるくてごめんね……。」
「そんなことないです!」

海さんの気持ちは無駄にしたくない。

「海さんの気持ち、ちゃんと受け取ります。よかったら私を彼女にして下さい!!」

半分涙目になりながら言う。

海さんのこと、これからもっと知りたい。一緒にいたい。

「ゆあ……。いいのか、俺で」
「はい。海さんがいいです」

私がそう答えると、海さんは優しく私を抱きしめながらありがとう、と耳元で囁く。

「嬉しい。ほんと大切にするから。もっと好きになるから。」

海さん…

「まぁしんみりしてばっかもよくないしゆあ、これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!!で。」

ちょこちょこ気になっていたことを話題に出す。

「で?」
「そのブックカバーしてある本が気になります」

もしかしたらそういう系の本なのかもしれない。
私は純粋だから全然興味なんてないけど、海さんがどういう本読むのか気になってるだけ……。

ただそれだけなんだから!!

「みたい?」
「みたいです!!」
「敬語やめるならいいよ?」

海さんの条件にびっくりした。

「折角近くなれたしね。どうせならもう少し近くなろうよ。だめかな?」

ち、近くって……!!
その、えっちぃことするわけじゃないんだよね……。

「か、海さん!!その、えっちぃことするわけじゃないんですよね!」
「へ?違うけど……してほしいの……?」

違うのか……、ちょっと安心したような……。

「してほしいなんてそんな……!!でも、してほしいって言ったらどうするんですか」
「するけども。ちょっとだけ……ね?」

するって海さん……!
何を……。
やっぱり、そのブックカバーがついてる本はそういう本なのか……。

「海さん……」

じっと海さんを見る。

「し、しないよ!?本だっけ、はいどうぞ!!」

慌てた海さんが面白い。

本の中身はただの小説だった。惜しいような惜しくないような……。

それから何分か雑談みたいのをして、私は家に帰っていった。
家に帰ると、海さんからメールが届いていたことに気づく。

件名:クリスマス
本文:よかったら一緒にどうかな?

---END---

私はそのメールを見て、自然に笑顔になった。

そして、恥ずかしいような嬉しいような不思議な気持ちで返信を打っていった。

"はい、一緒に過ごしたいです"

初めて、彼氏と過ごすクリスマス。
まだまだ形だけかもしれないけど、ひとつのいい思い出になるといいな。

一週間後、クリスマス・イブ
精一杯オシャレして、服もこの日のために買ったり。
海さんへのプレゼントも、何分も迷って選んだ。

すっと、静かに深呼吸。
海さんの家の前だ。

ピンポーン、とチャイムを鳴らす。
すると、すぐに海さんは玄関から出てきた。

「海さん!!クリスマスこんばんは!!」
「意味わからないよ……!」

ちょっと素っ気無い海さん。
そろそろ夜になる時間に私は海さんの家に来た。

親には、菜帆たちとクリスマスパーティーをすると言って家を出てきた。

「やばい」
「はい?」

やばいって、何がだろ。

「かわいすぎ」

下を向きながら言う海さん、やっぱり顔が赤かった。

「海さん顔赤すぎです、私まで照れるじゃないですか」
「ゆあ……ちょっと」

海さんが私に近づいてくる。

「なんですか」
「ちょっと目つぶれ」

海さんの言われるがまま、私は静かに目を閉じた。

ふわ……っ

海さんの香りが、私を包み込むような感じがした後、唇に温かいものが触れる。

「海さん……」
「ゆあ、大好き」

なんだか、夜に海さんと会うなんて滅多にないことだからなんだかいつもよりドキドキする。
それに、夜……彼氏と会うなんて……。
ああ、もう考えただけで恥ずかしい!!

「とりあえず、また僕の部屋来てよ」
「海さん、これ……」

少し前のように、海さんの部屋に行く。
そして、綺麗にラッピングされたプレゼントを渡す。

私が買ってきたのはペアネックレスだ、ちなみに二つ合わせるとハートになるが海さんには秘密である。

「ありがとう、僕もあるよ」

海さんは小さな袋を私に渡す。

「開けていいですか?」
「いいよ」

袋を開けると、ストラップが出てきた。

「こんな高そうなストラップ、いいんですか?」
「うん、ゆあにだから」

海さんからもらったストラップ、ずっとずっと大切にしよう。
初めて、彼氏からもらったクリスマスプレゼント。

「ゆあのも見ていい?」
「どうぞ!!」

子供のように目をキラキラさせる海さん。

「ネックレス??」
「はい~」
「ゆあありがと!!一生大切にする!」

はしゃぐ海さんは、やっぱり子供みたいだ。
こんなに喜んでくれるんだったらもっと高いもの買えばよかったかなぁ。

「あ、ゆあ……」
「はい、なんでしょう!」

何かを思い出したように言う。
しかし、私はそれに気づかず、いつものように答えた。

「僕、大学行くんだ」

大学、か。
海さん頭いいからきっと有名な所にでもいくんだろうな。

「そうなんですか~」
「それなんだけど。僕、この家を出て一人暮らしする」

……え?
家を出る?一人暮らし?
それって、もしかして……。

「海さん、それ……」

ああ、と海さんはうなづく。

「会える機会が少なくなるの?」

「だな……ゆあ、ごめん」

嫌……、嫌!!
海さんはいつでも私の傍にいてくれた、東と付き合ってた時も相談に乗ってくれた。
テスト前なんかは勉強も教えてくれた。
一緒に、ラナと遊んだりした。
それがこれからも当たり前だと思ってた。
なのに、こんなの……。
漫画や小説みたいなこと、ないと思ってた。
なのに!

「海さん、嫌!行かないで!ずっと私の傍にいてよ……!」

自分でもびっくりするぐらい、大きな声で言う。

無理なのは分かってる、でも言わないと。言わないといけない気がして。

「そこまで、僕のこと好きでいてくれるの?」
「好きです、大好きなんです……」

気づけば涙を流していた。

「ゆあ……!!」

海さんは強く私を抱きしめてくれる。

「ゆあ、俺も大好きだよ!」

私は、海さんに抱きしめられながら泣きつかれ、静かに目を閉じた。

「東くんの何倍も、愛してるんだよ……」

そうつぶやいた海さんの声は、ゆあには届かなかった。

「ちょっと寝かせてやるか」


「ゆあ、起きた?」

遠くで海さんの声がして私は目が覚めた。

「一時間ぐらい寝てたよ、無防備なゆあに理性きれそうで危なかった」

……!?
その言葉で私は今の状況を理解した。

私、海さんのベットで寝てたんだ……。

「どういうことですか?」
「ゆあを襲いそうだったってこと」

お、襲うって……!!

「ゆあ、嫌でしょ」
「嫌じゃない、です」

私がそう答えると、海さんは驚く。

「ばかなこと言ってんじゃねーよ……」
「本気です、冗談なんかじゃないです」

海さんなら、もう何されてもいい。
そんな気持ちだった。

「……ゆあ、敬語もうやめろ」

え。

「敬語をですか……」
「後、そうやってゆあが言うんだったらさぁ」

私が……?なんだろ。

「今日泊まる?いや、泊まれよ。俺の部屋で」

海さんの一人称が俺だよ……!!

「えっ、ちょっと海さん……」
「また海さんかよ、ゆあ……お仕置きな」

海さんは私を押し倒してくる。
えっ、これはまさかヤル気!?
あの、いつも冷静な海さんが……理性切れてる!?

「覚悟しろよ」

そう言って、私の服を脱がせようとする。

「ちょっと……海さぁぁぁぁん!!」

「ごめん」
「いや、私こそ怒鳴ったりして……」

いつもの冷静な海さんに戻る。

「ゆあ、僕も男だよ。たまには理性切れそうになる時もある、それでもいい?」
「いいです、そんな海さんも大好きですから」

気付けばもう夜の9時過ぎだ。

「ゆあ、ありがとう。後3ヶ月時間あるからそれまでいっばい遊びに行ったりしよう」

そうやって二人でいつものように過ごす。
結局、緋未ちゃんの家に泊まる名目で海さんの部屋に泊まった。

「海、おやすみ」

クリスマスから約三ヶ月、今日は海が引っ越す日だ。

「海……本当に行くの?」
「行く。いつか二人で暮らすために。我慢出来るか?」

この三ヶ月、海と何回もデートに行ったり海の家に泊まったりした。
これからの会えない日を埋めるように。

何年後になるか分からないけど、いつか絶対一緒になれるって信じてる。

「ゆあ」
「ん?」
「いつか絶対迎えにくるよ、だからその時まで待っててね」

海、ありがとう……。

「海、今までありがとう」
「何その一生のお別れみたいな」

だって……と言おうとした時、私より先に海さんが口を開く。

「出会ってから半年とちょっとだけど、ゆあと過ごせて楽しかった。付き合ったのは最近だけどね」
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