年下の彼氏
「た、孝之くん!?」
同じように傘を上げて、
菜月さん!?と驚いた。
こんな偶然ってあるんだね。
最近、行くところ行くところ孝之くんに会う。
珍しく孝之くんは制服だった。同じくあたしも制服で周りから見るとカップルみたいに見えるのかな、とかそんな事を考えた。
「どうしたの?帰り?」
孝之くんは小さいあたしの傘からはみ出て濡れているあたしの鞄に彼の傘をさしてくれた。
やさしいんだなぁ…。と横目で思いながら気付かないふりをした。
そのおかげであたしたちの距離は縮まった。
「それがさぁ、今あたしの友達が告るのか告られてるのか分かんないけど…。」
例のモニュメントを指差して苦笑い。
「オレも一緒に住んでる従兄弟の兄貴が一世一代だって…。」
彼も例のモニュメントを指差して苦笑い。
二人の指差した先には、相合い傘をしているカップルがモニュメントの前に立っていた。