明日は晴れますか?




「・・・ごめんね、こんな話・・・まだ知り合ったばかりの土屋君にしちゃって・・・。でも・・・聞いてくれてありがとう。聞いてもらえただけで、少し楽になったよ・・・!じゃぁ・・・もう暗いから私・・・帰るね!!」

自分の弱いところを見られた恥ずかしさで、私は逃げるように土屋君から離れようとした。


「待てよ」


でも、期待通りに、土屋君は、私の事を、呼び止めてくれたんだ・・・。


「・・・」

もう、私の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

こんな泣き顔、土屋君に見られたくない。

今日であったばかりの、生意気でクールで、苦手だったハズのヤツ。

話をすることさえ、拒んでいた。

そんなヤツに、ここまで、自分の全てをさらけ出した。

・・・どうして。

どうして、彼にはこんなに素直になれてしまうの。

ずっと一緒にいて、信じきってるはずの椿には言えなかったことが

こんなにすらすらと言えてしまう。

・・・どうして・・・。


「池田、ほんとに、死ぬのか」

「・・・うん・・・」

「・・・俺に、出来ること・・・ないか?」

「え・・・?」

「お前が、最期が来るまでに、やりたいこととか。力になれることは、俺が助けてやる・・・から・・・」

照れながら、でも真剣にそう言ってくれる土屋君。

すごく、頼もしく感じた。

「・・・私・・・何もやりたくないよ。この世に未練なんて残したくないから。誰にも必要とされず、誰も必要としないまま、死にたいから・・・。」

ほんとは、そんなの嫌だった。

だれかに必要として欲しかった。

私が死ぬ時、誰かに泣いて欲しかった。

「・・・死なせないからな。」

「えっ・・・」

土屋君が、小さな声で、でもハッキリとした口調でそう言った。

「・・・もう家帰らなきゃ、暗いし危険だな。送る。」

「あ、ありがとう・・・」

< 18 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop