ひねもす月
「あのね、服、アタシたちに選ばせてみない?
人の好みにケチつけるわけじゃないけど……」


「……え?」


一瞬意味がわからず聞き返す。


「イイよね!!」


と、言うが早いか、ぱっと伸びた高田さんの腕がミナの手を引っ張った。


「え、ちょっと!」


「大丈夫だよぉ。
ねーっ、ミナちゃんっ」


高田さんが人懐っこい笑顔を見せると、足をもつれさせていたミナも、つられたのかニコっと笑う。

その自然な横顔が大人びて見えて、カナタは自分の心臓がドキンと鳴るのを聞いた。


「ま、まかせとけって。オレら服飾系希望してんの。たまにお互いの服コーディネートし合ったりしててさ。
……あー……ついでにスドウのも選んでやろうか?」


「……は?……いや……わっ……ちょっと!」


「じゃ、オレらこっちな」


今日はこの上の布屋を見に来たんだ、とかなんとか言いながら、4人はうむを言わせずに話しを進めていく。
肩をがっちりつかまれたカナタと、腕を絡められたミナは、あっという間に別々の方向に引き離されてしまった。


悪気はないみたいだし、元々、悪い人たちではなさそうだけれど……。

心配で気が気ではない。
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