ひねもす月
「デートぉ?真面目な顔してても都会っ子はさすがだね~」


ニヤニヤと立っていたのは、高校のクラスメート4人。
あまり話したことはないけれど、確か、高田さん、山中さんと、沢井くん、阿部くんだ。

人数のそう多くない学校で、3年の転入生。嬉しくないことに、カナタはそれなりに注目を浴びているらしい。


「あ~ぁ。彼女いたんだ~」


そういう4人こそ、妙にお洒落な格好で、やけに親密そうに見える。


「…………いとこだよ」


ぶしつけな視線からミナを隠し、早く行ってくれとばかりに答えた。


「マジ!?彼女じゃねぇの!?」


茶髪の阿部くんが、喜々として口を開き、高田さんに睨まれた。
軽いのは見た目だけではないのかもしれない。


「え、じゃあわざわざ、いとこの買い物に付き合ってあげてるんだ?優しいなぁ。
……んと……名前は?」


「ミナ」


穏やかな山中さんに答えれば、呼ばれたと思ったのか、当のミナがキョトンとした顔を出す。


「んー……ミナちゃんかぁ……」


なぜかミナのつかむ服を見ながら思案顔になった山中さんが、高田さんの耳元で何か囁いた。


「ね?」


「あ、それイイ!!楽しそ~っ!!」


沢井くんたちにも、「イイ?」とたずねてから改めてミナのほうを向く。
なんだというのか。

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