【長編】FOUR SEASONS
怒号するでもなく、ただ淡々と言葉を続ける。

だが静かに続ける一言一言に、深い怒りが込められていることはマイクを通しても十分伝わったようだ。

ガラスの向こう側で放送部員達が青ざめた顔で俺を見つめていた。

「優華に何かあったら、ただじゃおかないからな。例えそれが誰であってもだ。
3分でここへ連れて来るんだ。でないとどんな事をしても見つけ出して、てめえら全員ボコボコにしてやる」

そうだ。優華に危害を加えた奴は絶対に許さねぇ。それが女であっても殴らずにいられるだろうか?
目の前が赤く染まるような、ドロドロした怒りが胸を迫り上げてくる。
理性の欠片も残っていない、例えあっても機能していない。

今、この俺の心を鎮めることが出来る存在があるとしたら、それはたった一人の少女の笑顔だ。

―優華 どんな事をしてもお前を護る―

「いいか、今後優華に手を出す奴がいたら、二度と同じ事を繰り返せない程に後悔させてやる。優華を俺のところへ無事に連れて来い。今すぐにだ」

静かにそれだけ言うと俺はマイクのスイッチを切った。


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