【長編】FOUR SEASONS
怒りが頂点に達した時、人は不気味なほどに静かになるのだと、俺は初めて知った。

放送室を出ると壁に寄りかかり静かに目を閉じる。

全身の感覚の全てで優華を感じられるように、神経を研ぎ澄ませて校舎に響く音の中から優華の声を探す。


「―――ぃ・・・・・・。」



・・・・・・・! 
見つけた。
優華の声。
昨日胸を揺さぶられたあの声だ。


気配を追って窓の外を見ると、ふらふらと校庭を横切り北棟に向かって一人でよろけながら歩いてくる優華の姿を見つけた。

「優華っ!」

今まで生きてきてこんなに早く走った事も、こんなに動揺したことも無かったと思う。


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