オレンジ色の校舎
「遥、ほら」
ポンッとあたしの背中を押した麻衣は、たっちーと教室に行ってるから、と一言残した。
…ってえぇぇ!?あたしと瀬川くん…2人きりじゃん!!
「浅井?」
麻衣に背中を押されて、瀬川くんとの距離が近くなった。だからさっきよりも瀬川くんの声が…気配が…近い。
「せ…瀬川くんっ」
「ん?」
「き…昨日は、か…き…きゃさ、あ…ありがとうございましたっ」
サッと傘を差し出した。…ってハッ!あたし今噛んじゃったよね?『傘』を『きゃさ』って…
「ふっ…あはははっ。朝から笑わせてくれるなー、浅井は」
だけど、あたしの噛んだ姿を笑っている瀬川くん。あたしは恥ずかしくなって俯いた。