オレンジ色の校舎
「浅井、ごめんって。そんなに落ち込むなよ」
瀬川くんは、俯いていたあたしを落ち込んでいると勘違いしているみたい。
「じゃあ、そんなに落ち込んでる浅井に……はい」
「……?」
すると頭の上に何かが置かれた。あたしはおそるおそる頭の上に手をやった。
「……オレンジジュース?」
「朝練で差し入れで配られたから元気のない浅井にあげる」
「いや…いいよ。せ…瀬川くんのだし…」
「俺はいいよ。どうせ飲まないからさ」
もらって?と微笑む瀬川くんに何も言えなくなり、戸惑いながら頷いた。
瀬川くんのオレンジジュース。差し入れでもらったモノでも嬉しいよ。
「じゃ、俺行くな。傘、朝早くからわざわざありがとうな!」
「あ……うん。あ…あの…っ!」
あたしは瀬川くんを呼び止めた。