オレンジ色の校舎





「浅井、ごめんって。そんなに落ち込むなよ」



瀬川くんは、俯いていたあたしを落ち込んでいると勘違いしているみたい。



「じゃあ、そんなに落ち込んでる浅井に……はい」



「……?」



すると頭の上に何かが置かれた。あたしはおそるおそる頭の上に手をやった。



「……オレンジジュース?」



「朝練で差し入れで配られたから元気のない浅井にあげる」



「いや…いいよ。せ…瀬川くんのだし…」



「俺はいいよ。どうせ飲まないからさ」



もらって?と微笑む瀬川くんに何も言えなくなり、戸惑いながら頷いた。



瀬川くんのオレンジジュース。差し入れでもらったモノでも嬉しいよ。



「じゃ、俺行くな。傘、朝早くからわざわざありがとうな!」



「あ……うん。あ…あの…っ!」



あたしは瀬川くんを呼び止めた。






< 119 / 574 >

この作品をシェア

pagetop