オレンジ色の校舎
『ん?』と振り返る瀬川くんに…毎回ながらきゅんとしてしまうあたし。
「よ…よかったら…コレ…」
「ん?コレって…風邪薬?」
「……せ…瀬川くん、のどが痛そうだから…」
実は、さっきから薄々気づいていた瀬川くんの体調。
瀬川くんがのどが痛そうな理由はあたしのせいなんだ。傘を借りちゃったから、瀬川くんは風邪引いちゃったんだ。
瀬川くんは朝から部活も大変なのに…体調を崩させてしまった。
「…ご…ごめんなさい。風邪引かせちゃっ…」
「浅井、コレ風邪じゃないよ?部活で声を出しすぎただけ。今までにも何回もあったし」
「そ、そんなわけ…」
「ホントだよ。昨日の雨で風邪引くなんて免疫力無さすぎだろ?」
『浅井心配しすぎ』と、眉を下げながら呆れて笑う瀬川くん。