オレンジ色の校舎
一馬くんは小さなドキドキを残して先に歩いて行った。
「自覚しろ…だーって」
一馬くんの真似をして、隣にいた楓ちゃんがクスクス笑う。
「遥、ヤバイんじゃない?」
いつの間に来たのか、麻衣もあたしの隣で呟いた。や、ヤバイって何が!?
「浅井くん、相当マジね」
「うんうんっ。いつでも俺のところにカモン!…って感じ?」
なぜか麻衣と楓ちゃんは盛り上がっている。ひ…人の恋路を…!
「おーい、そこの女子軍!お参りするぞー!」
少し先でこちらに向かってたっちーが、ブンブン手を振っていた。
『美女軍団じゃないの?』と楓ちゃんの言葉に笑いながら、あたし達(楓ちゃん曰く)美女軍団は駆け出した。
やはり元旦だけあって人は多い。みんなとはぐれないようにするのが精一杯だ。