恋人は小学生!?

校舎を出てから、とぼとぼと歩いて一人反省タイム。

「優子には、悪いことしちゃったな……」

でも、あのまま会話を続けられる自信は無かった。

優子は、『理想が高過ぎて、それに敵う男性が居ない』から、わたしに一度も彼氏が出来たことがないのだと思ってる。優子だけじゃない、たぶん、他の友だちもそう考えてるんだろう。

けど……

けど、違うの。そうじゃない。
わたしは、わたしは、ただ…………




PiRiRi〜♪


「ひゃあ!?えっ!?なに……あっ、携帯……の、着信」

ディスプレイを確認せず、慌てて携帯を耳に当てる。あたふたしちゃって、恥ずかしい。だって、普段はメールばかりで、電話はあまり掛かってこないから。

「もしもし?」
『もしもし、伊織ちゃん?BOOKsちぐさの吉川だけど……』
「あっ、店長」
『出勤時間5分前だけど、間に合いそうなのかい?遅刻したら罰として外掃除してもらうよ?』

いけない……!ぼうっとし過ぎてた。

「すみません、店長。すぐに行きます!」

通話が終わり、待ち受け画面に表示される時計を確認すると、

 16:56

「急がなきゃ……」

バイト先のBOOKsちぐさまでは、ここから走って3分。頑張れば間に合う、……よね?

晩秋の冷たい風を受けながら、誰も咎めるひとの居ない商店街を駆け抜けた。
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