恋人は小学生!?

「それじゃあ、伊織ちゃん、悪いけど外掃除お願いね」

「はーい……」




あの後。……まあ、普通に考えて間に合うわけもなく遅刻したわたしは、就業後の掃除を命じられた。……うん、仕方ない。遅刻したんだから。

『BOOKsちぐさ』と控えめに書かれた薄いグリーンのエプロンを着たまま外に出ると、冷たい風がわたしの髪をなぜた。

「うう……さむい」

もう9時だから、外は真っ暗。既に閉店したBOOKsちぐさの前を箒で掃除していると、なにかがひらひらと飛んできた。

「?」

拾い上げてみると、それは本に挟むための栞だった。有り触れた、紙で出来た栞。

「一体どこから……」

そうして振り向いた瞬間、わたしははっと息をのんだ。

なにかを探している様子のひと。暗闇でもわかる、綺麗な琥珀色の髪が、風になびいて……


天使みたいな男の人が、そこにいた。
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