執事と共に謎解きを。
いつも夕食は一人で食べるものだが、今日は既に3人の人が席に着いていた。


「やあ恵理夜お嬢さん、久しぶりだなぁ」


明らかに度の過ぎた肥満の老人が、上の席に座っていた。


「こんばんは、ヤマザキ先生」


ヤマザキは、彼女の祖父の組の顧問弁護士だった。


「お体の調子はいかがかね、恵理夜さん」


べったりと、顔に髪の毛が張り付いた、爬虫類のような顔に、白衣をまとった男。


「イチジョウ医師のおかげですね」


イチジョウは、恵理夜達の主治医でありその屋敷に雇われている医師であった。


「さあ恵理夜、顔を良く見せておくれ」


最も上の席に座るのは、組長である祖父の右腕で働くシラヤナギであった。

彼は、組のものとしては異質で細く穏やかな顔立ちをしていた。弁護士の資格を持ち、組織の頭脳として動いていた。

恵理夜のことを常に気にかける、彼女にとっては叔父に当たる存在だった。


「顔色が良くないけれど、大丈夫かい」

「えぇ、大丈夫です」

「来てくれてありがとう」


30代も半ばの聡明な顔。その顔は、最年少の幹部ながら気品と威厳に満ちていた。
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