執事と共に謎解きを。
「遅くなってごめんなさい」


シャネルの5番の香水が強く香る。

夏樹に付き添われて、華やかなスーツを着た女性がやってくる。

ヤマザキの妻、レミコ夫人だった。


「おおレミコさん、お待ちしておりました」


美しいもの信者で有名な彼女だが夏樹曰く、すでに49歳の崖っぷちとのこと。

服と香水の華やかさでごまかそうとしているのが見え見えだ。

全員が、きつい香水に内心顔をしかめているのが恵理夜にはわかり、くすりと笑った。


「あら、春樹も来ていたのね」


恵理夜の後ろに控えていた春樹は、静かに頭を下げた。


「お元気そうですね、レミコ様」

「美しい貴方には、母と呼んでいただきたいわね」


彼女は、春樹の遺伝子上の母である。あくまで、遺伝子上というだけだが。


「さあ、席に着いてください」


シラヤナギの一声で、全員が席に着き食事が運ばれてきた。
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