執事と共に謎解きを。
「ここにいる皆様、というのは私も疑われているのでしょうか」

「もちろん。そして春樹もね」


恵理夜の問いに不釣合いなほど温かい笑顔でシラヤナギは頷いた。


「この中の、誰の手にあっても利はありますからね」

「大方、お前が邪魔者を消そうとたくらんどるだけじゃろて」

「おやおやヤマザキ先生、ずいぶん嫌われたものですね……」

「確かに、顧問弁護士なのに貴方より重宝されていますものねシラヤナギさんは」

「わしに言ったのか、レミコ」


妻の裏切りにヤマザキが怒鳴る。


「最年少にして、右腕のシラヤナギさんを、同じ弁護士として面白く思うはずがないものね」

「どういう意味だ」

「1冊のレポートでシラヤナギさんの失脚が狙えるなら安いものでしょう」


ずいぶん冷え切った夫婦だこと、と恵理夜は心の中で呟いた。
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