執事と共に謎解きを。

夕食会はお開きとなり、それぞれが自室に戻った。


変に熱くなった頭と身体を冷やすため、恵理夜は一人、自室のベランダに佇んでいた。

2階にある彼女のベランダは、美しい庭に面していた。その美しさは、レミコの紹介で雇われた庭師が完璧な手入れをしているおかげだ。

部屋の中では、春樹が食後の紅茶を淹れていた。

優しい香りが部屋に満ちる。



「なー、なんか、俺だけぜんっぜん話についていけなかったんだけど」



――恵理夜の自室なのになぜか夏樹が、反対に腰掛けた椅子の背もたれを抱えていた。


「夏樹、お前はレミコ様についていなくていいのか」

「あの場で解散になった後、下がっていいって言われたんだよ。な、俺にもお茶入れてくれよ」


春樹は、ため息をつきながらもうひとつカップを用意した。
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