執事と共に謎解きを。
「でさ、《Dレポート》ってなんなの?」

「お前、本気で聞いているのか」

「だって俺、お前ほどここに来て長くないし」


春樹はため息をつきながら背中越しに、説明を始めた。


「《Drug Report》400ページからなるそのレポートの通称だ」

「ドラッグレポート?そんなヤバイやつなの」

「ドラッグといえば想像つくでしょう」


ベランダから恵理夜が戻ってきた。


「どーゆーこと?」

「合法でないドラッグや未認可医薬品の輸入元や効果、依存率が書かれてるの」

「つまり?」

「人体実験の記録」


夏樹は口を閉ざした。


「ついでにあれは、私たちのレポートでもあるわ」

「え?」

「私たちに処方されている薬も未認可医薬品が含まれてる。私達も被験者《モルモット》として記録されているわ」


いたずらっぽくウィンクした恵理夜の眼には深い闇があった。
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