ハク息がシロイ
「まって、これ・・・。」
夏騎くんが手に持っているのは、私の落としたホットドリンク・・・・。
私は階段を駆け上がると息をきらしながら
「すいませ・・・・、」
と一言言って戻ろうとした。そうすると手を掴まれた。
「音楽・・・好きなの?」
夏騎くんはいきなり聞いてきた。
「うん。好きだよ。」
と言うと少し笑って、
「驚かせてすまなかった。僕はもう行くから屋上で食べるといいよ」
と夏騎くんは言って、コンビニの袋とバイオリンを手に持って階段を降りようとしていた。
「まってください!!」
今度は私が手を掴んだ。
「何?」
「あの、一緒にお昼・・・どうですか・・・??」
夏騎くんを私が退かしてるみたいでわるいし、ちょっと話してみたいということもあって引きとめてみた。
でも、途中で自分の大胆さが恥ずかしくなってきて、
「すみませんっ!」
と言って屋上に行こうとすると
「君は謝ってばかりだね。」
と夏騎くんが笑った。
「そうだな、一緒に食べようか。」
夏騎くんはそういうと屋上のドアを開けた。
どうぞ、と私を通すとドアを閉めてしゃがんだ。
夏騎くんの横にちょこんと座りお昼のメロンパンを開封する。
メロンパンを食べ始めるとまた夏騎君くんが笑った。
「何ですかっっ??」
「いや・・・同じお昼ご飯だなぁと思って」
夏騎くんの手に目をやると、メーカーも形も同じメロンパンがあった。
夏騎くんとは意外と話も合って、昼休みはとても楽しかった。
でも、バイオリンに触れると何故か悲しい顔をした。
どうしたのだろう・・・。
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