ある17歳における不明瞭な愛についての考察
俺が千往を好きな気持ちは嘘じゃない。
伝えて、触れた以上は
俺が千往を守らなきゃいけない。
決意する勇気をくれたのは、千往だ。
男の俺よりも、千往があんな行動をするのは遥かに緊張したんだと思う。
そのぶん、俺だって千往を大事にできるはずだ。
「……ありとくん、」
だいぶ落ち着いた様子の千往の呼び掛けに、平静を装って顔を上げる。
困ったような、不安そうな顔をしていたけど、千往はとても幸せそうな顔をしていた。
そしたら、
俺の中で千往が今までよりもずっと愛しくなって、腹の奥の方がぎゅうっと痺れた。
──俺、千往が愛しい。