ある17歳における不明瞭な愛についての考察
見るからに緊張していた千往の表情がそっと緩んで、かと思えば、袖で涙を拭いながらまた泣き出す。
「ごめ、んっ」
ごめん、って、そんなの───なんで千往が謝るんだ。
「俺の方こそ、ちゆきに言わせるとか…ごめんな」
ふるふると首を横に振る千往。
無表情でイヤホンを耳に付けた大学生が自転車で通っていく。見事なまでに無関心で、少しほっとした。
「友達だった、のにっ。いきなり、えと…驚いたと、思うし…」
千往は戸惑いながら言葉を選んでいるように見えた。
今まで千往に対して変に気を使うことはなかったし、今も変わらないけど。
「いつも」を壊した側にとっては、たぶん不安なんだと思う。
俺が壊して伝える勇気がないから、千往に壊させてしまったんだけど────
そう思うと申し訳なくなる。