「ワタリガラス」


朝になりました。

いつものように少女はこちらに駆け寄ってきます。

やはり、いつものようにパンを持っていました。

働いているから、でしょうか。報酬なのでしょうか。

それを貰う、ということは。もしかしたら遠慮すべきだったのかもしれません。

大きいほう、だなんて偉そうな事を言うべきではなかったのかもしれません。

そんなことを考えていると。


「はい。パンだよ。」

「・・・。」

「食べないの?」

「小さいほうで、いい。」

「へんな人。」

「・・・。」


大きい片割れを食べている少女。やはり、食べるのに時間がかかっています。

ワタリガラスは、気になったことを聞いてみました。


「友達とか、いないの?」

「いるよ?」

「ふぅん。」

「みんな、パンを買いに来てくれるよ。」

「ふふ。それはいいわね・・・。大事にしなさいね。」

「うん!だから・・・。」

「え?」

「わたしはキミの事も大切だよ。」

「・・・。」


そういうことじゃないのに。そういうことを言いたかったんじゃなかったのに。

でも、反面、嬉しく思っているのも事実です。


その日も、夕焼けが沈んでいく頃に少女は帰ってしまいました。


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