「ワタリガラス」
何日も何日も。少女はやってきました。
家族は、ワタリガラスと遊んでいるなんて事を知らないのかもしれません。
自分は、不幸の体現者なのに。
それなのに、隣の少女は好き好んで翼や身体を撫でている。心地いいのですが、複雑な気持ちになります。
別れが、辛くなるんじゃないだろうか、と。
ある日のことです。
朝の事でした。少女がいつも通りやってきたのですが、元気がありません。
聞きたくても、聞けなかったのですが。
ため息と同時に少女の口から言葉が漏れました。
「わたし。なんのために生まれてきたんだろう。」
「・・・。」
「わたしのせいで、お母さんが病気になっちゃって・・・。働くのは好きだからいいんだけれど・・・。お母さんが心配・・・。」
「そうなの。」
「わたし、生きてていいのかな。」
「・・・。」
「どう、思う?」
「生きるべき、だと思うわ。」
「なんで?」
「病気のお母さん一人残して逝ってしまうのは、悲しすぎるから。」
「本当に、そう思ってる?」
「・・・。」
「キミは、ワタリガラス、だよね。お客さんに聞いたよ。不幸を呼ぶ鳥だって。」
「そう。」
「キミは何の為に生まれてきたの?」
「人々に不幸をもたらすために。」
「本当に?」
「・・・。」