駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
三人が入口近くで会話に花を咲かせていると、一番外に近かった矢央に向かって、
「危ないっ!!」
「うわっ!? な、なに…って木刀…」
ビュンと風を切る音と共に飛んできた木刀を、ギリギリのところでなんとか避けた。
呆然とし庭に落ちた木刀を見つめていると、その木刀を拾った藤堂が投げ飛ばした張本人へと睨みをきかす。
「あんたさ、今のわざと?」
「も、申し訳ありません! 立間さんの技を受けた際、力負けをしてしまい…ああっ、間島さんお怪我はありませんかっ?」
後数センチでも横を通る位置がずれていたらと思うと身震いを起こした矢央の肩を、五番組隊士熊木が叩いた。
「え、えっと…熊木さん?」
「はい。 すみません。 それで、大丈夫でしたか?」
熊木とは桜の宴の際に初めて出会い、口をきいたのもまだその一度限りであった。
何度か見かけることはあったが、大して深い関係にあるわけでもないのに、わざわざ話しかける必要もないかと思い、二人は関わることはなく夏を迎えていた。
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