駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

久しぶりの会話がこれか。 と、内心苦笑いをした矢央は、表面上は笑みを浮かべる。


「大丈夫ですよ。 気にしないで下さい」


とは言われても、熊木は未だに申し訳ないと頭を何度も下げる。


「にしてもお前、力負けって…この腕じゃあ〜なあ」

「うわっ! は、原田隊長! 痛いですよ」


原田のゴツゴツとした手が、熊木の筋肉の少ない細い腕を揉みしだく。

原田の握力に、眉を寄せ抗議すれば次は藤堂に言われてしまう。


「ンなくらいで痛がるなって。 それでも男? 新撰組隊士として情けないとか思わないの」

「うっ…」

「へ、平助さん!」


口が悪いとは知っているが、ただでさえ反省中の熊木に今の発言はキツすぎる。

矢央は藤堂の裾を引っ張り、それ以上攻め立てるな藤堂を制した。


「いやいや、平助の言う通りだぜ。 熊木っつったか? お前、この腕じゃあ下手すりゃ矢央にも負けるんじゃねぇのか」

「間島さんに…ですか?」

「つか原田さん、それどういう意味ですか」


矢央にしろ熊木にしろ、心外だといった表情を浮かべ互いを見やった。


確かに熊木は男にしては細く小柄だろうが、似た体格でなら沖田もそうだ。

一応男の熊木と比べられた矢央は、熊木の腕を掴んだままの原田に舌打ちしてみせた。


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