駆け抜けた少女ー二幕ー【完】




"それが今の答えだろ"。

そう言われても、その答えとやらが分からないので困ったものだった。

土方には分かることがあるらしく、矢央をからかった後 暫くニヤニヤとして気持ち悪がられていた。




「…で、なんでこうなる」


返事は期待していない。

何故なら、その当事者は今やすやすやと夢の中だからである。

悩み相談所となりつつある土方の部屋で、散々からからわれたというのに、土方の布団の中で安心しきった寝顔を見せている矢央。



「大人しいと思ったらこれだ」


放っておけばそのうち部屋へ帰るだろうと思ったのが間違いだった。

一人考えにふける矢央を放置したまま、土方はやり残した仕事をすることにして、ついつい集中してしまったのだ。


一段落し背伸びをした土方は、やけに静かになった部屋を振り返ると、ある光景を見てあんぐりと口を開いたまま暫く固まった。


自ら布団を敷き、まるで己の布団だと言わんばかりに堂々と寝ている。


「はあ……」


叩き起こそうと思った。

が、何故かしなかった。


そういやこいつが来て、もう二年程経つのか…


何だかんだ言って長い時間を共に過ごしてきたなと、ふと寝顔を見て思った。



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