黒と白
苦しい。
苦しい。
苦しい。
今日もまた、言えなかった。
外はまだ雨が降っている。
もう、死んでしまおうか。そんな勇気なんてない。
何が嫌なのかなんて、とうに忘れて、ただ世界の全てが汚く見えた。
目に映る世界は遠くて、私を風景画を見ている気分にさせた。

ある日突然家を出れなくなった私を、両親は責めなかったし、気にも止めなかった。
私は夜の住人だった。
昼は怖かった。マネキンが話す世界が。作られた街が。
夜は優しかった。何も見えなくしてくれた。私は独りじゃないと安心させてくれた。

雨がより一層強さを増す。
今日は夜に出て行けなそうだ。
そう考えながら煙草に火を着けた。
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