TDLの恋
「えりちゃん、知ってる?哲ちゃんってね、超ー、モテるんだよ。そこらの女じゃ無理だよね、もちろん。」

遠回しにあたしが魅力がない、そこらの女だと言われてます。
そういう悪い事を遠回しに言う女もいます。
と、言いますか、女のケンカってジメジメしてる。
ねちねちねちねち言われそうだな、これから。
だから女って面倒くさい。
あたしはだんだんバカバカしくなってきました。

「それでね、今日の飲み会も哲ちゃんがあたしを一番に誘ってくれたんだ〜♪あたし、哲ちゃんとチューするの大好き!哲ちゃんのチューはね、甘いんだよ〜!えりちゃんてさぁ、」

「...ってろ...」

「何〜?聞こえないんですけど〜。泣いてんの〜?かわいそ。」

2人の女は耳障りな声、そうなんです、あの甲高い声、
一番腹立つ声で「キャハハハハ」と笑いました。

甲高い笑い声で鼓膜は破れはしませんでしたが、頭の中、プッツーン。

「黙ってろっつってんだろ!てめぇら、寄ってたかって後輩責めて楽しいのかよ!!」

意外にあたし、声出るんだな。
でもそのセリフを吐いてしまった時は、怒りでバイト先の事務所内に響き渡ってることさえ気付かない、いや、気にしてないのでした。
今度は丁寧語で、しかし、感情がこもってない喋り方で、
「今日の飲み会、図々しいかもしれませんが、参加させていただきますね。楽しみにしています。」
と最後に吐くと、2人は
「えっ...、ほんとこういう感じ萎えるんだけど。」
と言って、事務所を出て行きました。

勝手にケンカ売ってきて、(こっちも買っちゃったけど。。。)勝手に萎えて、何が何だか...。

悪の2人組はまだ休憩時間残っているのに出て行ってしまったから、休憩時間は気まずい思いをしなくて済みそうでした。
でも、恋する乙女には聞き捨てならぬ言葉があったのです。
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