Voice




「…フザけんな!!

録音でいいか?だと?!


たくさんのファンが、

今日の、

この曲を

楽しみにしてるんだ!






それを…。

お前は!!!」







すると、

キャサリーのマネージャーが、

梓を抑えながら言った。








「まぁまぁ、梓君。

落ち着いて!




キャサリーには、

本番前まで、粘らせますから。




…ねぇ、社長!」










マネージャーは、社長を見た。







社長は、少し考え、渋々と頷いた。











「…仕方ない…な。」








「社長!!」








梓が

"まさか"とでも、

言いたそうな顔で叫んだ。





社長は、

梓の肩をポンと叩いて言った。









「梓…。

お前の言いたい事は、

よくわかる。





・・・でも、

仕方ないんだ。





他に、

ピアノを弾ける女の子はいないし。

…かと言って、

今日は、中止に出来ないんだ。




…わかるな?」








梓は、

社長をじっと見たが、

すぐ肩の力を落とした。







そして、息をついて、

近くにあった椅子に、

力無く座った。






しばらくすると、

キャサリーは、

ピアノの練習を始めた。










うわっ。




ひどい…。




ひどすぎる!







本当に

ピアノなんかやってたの?


って位に、下手くそだよ。






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