Voice
「悪いが、
美紀には、両方出てもらう。
無理にでも。」
「「社長!!」」
私達は、
悲痛な叫びを上げたけれど、
社長は頑として、曲げなかった。
「Voiceにとって、
大切なLiveだと言うのも分かる。
が、『メロディー』の方も、
今が宣伝の大切な時期なんだ。
Voiceのナイトも、
『メロディー』のピアノ伴奏としての美紀も、
大切なポジションだ。
絶対に外せない。」
…確かに、
社長の言ってる事は正しいけど。
「でも、
どうしたらいいんですか?
…まさか、
性別を偽る次には、
分裂しろなんて、
非現実的な事しろなんて言うんじゃ…。」
お、恐ろしい…。
幾ら何でも、それは…。
…否。
社長なら、言い兼ねない。
想像しただけで
血の気が引いていった。