Voice



「やっぱ、お前、最高。」






ドキッ。






「…美紀なら、


お前なら


何があっても、

”絶対来る”

って、信じてた。」







満面の笑みで

そう言う梓の言葉に、





私の心臓じゃないみたいに、

ドキドキする。








何、これ?









「も、もう大丈夫っ!」





駄目だ!!

これ以上、

耐えられない!!





両手を離して言った。






「ありがとう。

もう、充分に温まったから!



本番始まっちゃうよ。

行こう!」







少しの間だったのに、


すごく長く感じた。








「あぁ。」








丁度、

スタッフさんが

「梓さん!出番一分前です。」

と、言った。












本番はこれから。




ピアノに座って、

手を握る。





…やっぱり温かい。







梓を見た。




マイクスタンド前に立って

こっちを見ている梓は、




キラキラ輝いていて…。





きっと。




私は、

この男に

これからも、

振り回されるのかもしれない…。






私の中にある

小さな何かが

そう言っていた。







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