Voice
「監督?!

それは、いくらなんでも、急でしょ。


リハーサルやりましょう!」





社長が、慌てて言った。





「いいじゃないですか。

あなたが、代役で連れて来た位なのだから、

さぞかし優秀なのでしょう?



今、この子には勢いがある!

絶好のチャンスだ。

このまま行くぞ!」




監督は、大きな声で言った。





「は、はぁ…。」





社長は、渋々と頷いていた。




…よし、頑張るぞ!!






今の私には、緊張よりも

ウキウキした気持ちが勝っている。





怖くなんか無い。


すっごく楽しみだ。





譜面を、パイプ椅子の上に置き、

ゆっくりとステージに上って、ベルの隣りに立った。







すると、ベルは、こっちを向いて、頭を下げた。






「本当にごめんなさい。

あなたを、すっかり巻き込んでしまいました…。」






そんなベルを見て、今日起こった事を思い返した。








…ホント災難な一日だったけれど…。




 思わず”フッ”と笑って、光る照明を見て言った。





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