ふたりだけの特別な絆

「おいっ!そんな大声で叫ぶなよ!」


男の人は、すかさず自分の両耳を塞ぐ。


その隙に逃げようとしたものの、足がもつれて転んでしまった。


「おい、大丈夫か!?」


慌てて体を起こした私の傍に、男の人がしゃがみこむ。


や、やだ…。
この人に捕まっちゃう…!

「は、離れてよっ!泥棒!!」


精一杯の抵抗をしようと、私は男の人をポカポカと叩いた。


「痛っ…、おい…止めろって!泥棒って、どういうことだよ…。」


「とぼけるなんて最低っ!勝手に人の家を物色してたじゃない!もう…今すぐ出て行ってよ!!」


更に力を込めて叩くと、男の人はパシッと私の両手首を掴んだ。



「…俺は泥棒じゃねぇよ。」


顔を近付けられてしまい、私は鼓動が尋常じゃないぐらい速くなっていた。



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