ひみつのはら

「こっちゃん……」

 みゆきちゃんの瞳が、少し揺れた。

 あたしも俯く。

 もし、夢を盗られたら。

 こんな楽しい想像もできなくなっちゃうんだ。

 ううん、もしかしたら……何も「楽しい」って思えなくなっちゃうんじゃないかな。

 そんなの、絶対やだ。

「ど、どうしたの?」

 今度は慌てて訊くみゆきママ。

「ママ……バクってホントに夢食べるの?」

 ポツリと訊くみゆきちゃん。「ライオンの前でなんでバク?」って顔したあと、みゆきママはハッとしたみたい。

 あたし達の思ってる事が、分かったみたい。

「日本ではね、〝夢食い〟って呼ばれてるの。でもママは、夢食いは妖怪でもバクでもないと思うな。本当の夢食いは……人間だと思う」

「人間って……みゆきたち?」

「うん。そうだよ。私達自身が夢を失くしちゃうの」

 みゆきママは笑ってるのに、なんだか悲しそうに見えた。

 あたし達が首を傾げると、静かに言った。

「2人共、もっと大きくなったら分かるよ。でも、夢はずっと持ち続けてね。そうすれば夢食いにならないから」
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