ひみつのはら

「しつこいなー!そんなに知りたければ、しげるくんに直接訊けばいいじゃん!」

「あ、あたしが人と話すの苦手なの知ってるでしょ?」

「だったらやめればいいじゃん」

 なんか、いつもみたいに言い返せない。

 たっくん、本気で怒ってる?

 これ以上言ったらまずい気がして、思わずあたしは口を閉じた。

 それを見て、たっくんもいつもの表情になった。

「……こっちゃんだって、自分のこと話さないでしょ。それは、知られたら何かこっちゃんが嫌な思いするからでしょ?」

 やっぱり今日のたっくん、妙に大人っぽい。

 けどその分、真剣さが伝わって来る。

 素直にあたしは感じた。

 たっくんは、しげるくんの何か……〝ひみつ〟を守ろうとしてるんだ。

 それは、みんなが知ったら……しげるくんが悲しむこと。

 もう、頷くしかなかった。

「……早く行こ。先生に怒られるよ」

 静かに、そっと、たっくんは歩き出した。

 まるで慰めるかのように。

            ♪

 でも、一度気になったことはなかなか忘れられない。

 午前中、あたしはずっとしげるくんを見てた。
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