不器用な僕たち

何ともいえない安堵感が包み込んで、涙がポロポロ出てきた。


「涼ちゃん……ごめんなさい……」

「意識が戻ってよかった」

「うん……、うん……」



唯一自由になっている右手で涙を拭いながら、私は何度も頷いた。

涙を拭う私の右手を涼ちゃんがキュッと握り締める。

ゆっくりと近づいてくる涼ちゃんの顔。

私は自然と目を閉じた。


「……涼ちゃん!?」


小さい頃から涼ちゃんが私にくれるキスは、いつもおでこだった。

今だって、もう片方の手で涼ちゃんが私の前髪をかき上げたから、普通にそう思っていた。


それなのに。

涼ちゃんは、キュッと閉じられた私の唇にキスをする。


< 102 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop