不器用な僕たち
「お母さん、ありがとう」
「うん。お母さん、家に戻って明日の朝ごはんの準備してくるから。1時間くらいしたら戻るわね」
「うん」
お母さんが病室を出て行った後、どれくらいの時間が経ったのだろう。
涼ちゃんを待っていた私は、布団の温かさがあまりにも気持ちよくて睡魔と格闘していた。
もう、限界かも……。
そう思った頃に、病室のドアがゆっくりと開いた。
廊下の非常灯に照らされた、見覚えのある長身の影――。
「涼ちゃん……?」
「千亜紀」
大好きな涼ちゃんの声。
起き上がって、涼ちゃんの元に飛び込んで行きたい衝動に駆られるけれど、今の私の身体はとても不自由で。
ゆっくりとこちらに向かって来る涼ちゃんを「早く、早く」と、目で急き立てる。
ベッドに近づいた涼ちゃんは私の頭を優しく何度も何度も撫でた。
「あんまり心配させるなよ」
ベッドの小さな照明に照らされる涼ちゃんの顔。