不器用な僕たち
照れたように涼ちゃんは笑う。
私が一番好きな涼ちゃんの笑い方。
切なくなる。よりによって、こんな時に私の一番好きな笑い方をするなんて。
「来月いっぱいで会社を辞めて、東京に行く」
「………うん」
涼ちゃんの目の前に広がるのは、大きな世界。
キラキラ輝いている。
そんな涼ちゃんを、私は応援しないといけない。
「涼ちゃん、頑張ってね!」
「ありがとう。デビューしたらCD買ってくれよ?」
「うんっ。コンサートも行くよ!」
「おばちゃんと一緒だったら許可する」
「また……、子供扱いする」
「千亜紀はまだ子供だろ?」