子うさぎのお世話




雪兎が必死で洗い物を片付けていると、



「うさ!ごめ~んっ!ちょっといい!?」



朝から色んなことに走り回っていた棗が慌てた顔でやってきた。



「…どしたの?」



洗い物をする手を止めて棗を見上げると、棗は困りきった表情で雪兎に向かってパン!と手を合わせた。



「うさ!お願いっ!接客係してくれないかな…っ!?」



「………!!」



棗は一息にそう言って申し訳なさそうに顔を上げた。



「うさが苦手なのわかっててごめん…。他に休んだ相川さんの制服着れる人いなくって…」



接客係だった相川留実はかなり小柄な体型で…それぞれに合わせて作られた衣装は同じような体型の人にしか着れない。



彼女の衣装は同じくらいに小柄な雪兎以外着れる者はいないだろう…。



どうやら甘味屋さんは大盛況で…嬉しい悲鳴をあげる反面、接客係は本当の悲鳴をあげているようだった。






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