子うさぎのお世話
「うん。わかった」
棗の困りきった顔を見て、断れる雪兎ではなかった。
すぐに返事をして、申し訳なさそうに自分を見つめる棗に向かってにっこりと笑ってみせた。
「…っ!ありがと~っ!うさぁ~!」
棗はギュッと雪兎を抱きしめてほんとに泣きそうな顔をしていた。
本当にめちゃくちゃ困っていたのだろう…。
「早速で悪いんだけど…着替えて接客してもらえる…?」
棗はごめんねと更に申し訳なさそうに可愛らしいひらひらを取り出した。
実物を見て少し怯んだ雪兎だったけれど…すまなそうな顔をする棗を心配させまいと、何とか笑顔で受け取った。
「わたし…絶対、接客へただと思う…。迷惑かけないかな…?」
不安な雪兎は棗に向かっておずおずと聞いた。
棗は雪兎のメイド姿に頬を上気させながら興奮気味に…
「問題なしよ…!!うさにならコーヒーぶっかけられたってお客は喜ぶわ!」
「………。」
ぐっと親指をつき出した。
さすがにそれは怒ると思うな……と思いながら、雪兎はノロノロと甘味屋へと変身した教室に向かった。