子うさぎのお世話
やっぱりクラスメートみんなが集中出来ていないまま、今日の授業は終了した。


この日ばかりは仕方ないという感じなのか
先生達もそううるさくは言わなかった。



雪兎は早く家に帰りたくてバタバタと鞄に教科書なんかを詰め込んだ。



「あ…、あの…っ!真白さん!!」


「………!?」


いきなりの大声に雪兎はびっくりして顔を上げた。


見ればずら~りと男子達が立ち並んでいる。声は一人だったのに……。


訳も解らずひたすら目をぱちぱち瞬いた。


「今日ってさぁ…っ……」


―――ガァンッ!!


「………!!?」


勇気を振り絞った一人の男子が喋り終わる前に……


「…………」


人殺しでもしそうな瞳で不機嫌極まりない時春がドアを蹴りつけ立っていた。


彼らの心はひとつになった……。


「「(あ…っ、悪魔だ……ッ!!!)」」


たった一人を除いては。


「あ、ハルっ!」


その途端、


悪魔はにっこりとろけるような笑顔を向けた。


「帰るぞ。……うさ」

雪兎はうん!とにっこり笑って時春に向かって走り出す。


それをなんなく受けとめて、いつものように抱き上げて……


残された彼らに一瞥もくれずにさっさと教室を後にした。


「……君らもがんばるね~。悪魔に楯突いても骨しか残んないよ?」


棗を迎えに来た秋良がひょいっと顔を出し、なかなかにしぶとい彼らに呆れた顔でそう言った。



恐ろしいモノを見た彼らも
もういい加減諦めよう…と、皆それぞれが心の中でつぶやいた……。

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