月と太陽
「え?あたし演技がかってるの!?」
萌乃は目を大きく見開き右手を胸元に添えて驚いた。
「ほら。」
リリは萌乃を指さしながらケタケタと笑った。
むぅ…と言って不貞腐れる萌乃を見て「ほら」とケタケタと笑う。
「リリ、ビーエム前に出して、機材車出すから。」
チャリンとBMWのキーがリリの右手に吸い込まれて、おっけぃとリリが黒いBMWに乗り込んだ。
そしてマイクロバス程の大きさの機材車と呼ばれている車の運転席に可那、後部席、と言っても機材車の『機材』の部分、そこに萌乃が乗り込んだ。
BMWがマンション一階のガレージから一旦右に出てバックでマンションの前を通りすぎと、機材車と呼ばれている車が右に出てブランドショップの前辺りで止まる。
それを確認するとBMWは一旦前に進み停止してバックでガレージに消える。
「リリ一発で綺麗に入れるわねえ。あの子に出来ないことって何かあるのかしら。」
窓を開けてサイドミラーを見ながら可那が言う。